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ほとんど読書感想、たまに日記、まれに映画感想。


by hiro-iti
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ノスタルジア

著者:小池真理子

妻子ある父の友人と恋に落ちた繭子。
親子ほどの年の差がある道ならぬ恋。姉には「不潔」とそしられながらも繭子にとってはかけがえないものだった。
しかし雅之は突然この世を去り、それから15年、繭子は路地裏にある古い貸家でひっそりと暮らしていた。
雅之との思い出に浸りながら、いわば世捨て人のような生活をしていた繭子にある日、雅之の息子「俊之」から一通の手紙が届く。
「父の話を聞かせていただきたい」と書かれたその手紙に、迷いながらも会う事を了承する繭子。
繭子の家を訪れた俊之はかつての雅之と瓜二つだった。
俊之の中に雅之の存在を感じ、懐かしさが溢れる繭子。
繭子と雅之が辿ってきた道をなぞるように自然に逢瀬を重ねていく二人だったが、その事が雅之との間を嫌悪していた繭子の姉に知られることとなり・・・。


「幻想恋愛小説」、「幻想に彩られた人外の恋」と本の帯に書いてありました。
内容はその通りのもの。
どちらかというと短編向きの設定かなと思うのですが、女性ならではの(小池真理子ならではの?)恋に落ちた二人の関係に対する細やかともいえる表現が溢れ、そのため無理なく長編小説として成り立っている感じを受けました。
設定だけ考えると1行で説明できてしまう話が、これほどまでに奥深い話にしてしまうのは作家の力量でしょうか。
ただ「小池真理子」の作品は、読了後になんだかわからない「モヤモヤ」感が残るのはどういうことなんでしょう。
その「モヤモヤ感」は説明できない。

ノスタルジア
小池 真理子 / 講談社
ISBN : 4062752697
by hiro-iti | 2006-03-11 19:43 |