ほとんど読書感想、たまに日記、まれに映画感想。


by hiro-iti
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紫の領分

著者:藤沢周

横浜と仙台の予備校講師を掛け持ちする手代木雄二は、二つの土地でそれぞれに家庭を持つ。
演じているわけでもなく、満足しているわけでもなく、ただ日常が過ぎていた。「俺には五人子供がいる」と嘘を遺して、同僚が自殺するまでは。
彼から死の直前に送られたメールが、手代木の生活と精神を軋ませていく。


私的印象ですが、なんとも生々しいこの小説。
いきつけの地味な床屋のオヤジの半袖からのぞく黒々とした腋毛を見て生臭い色気を感じたとか、予備校の女生徒がつけている香水の匂いに心動かされ「俺はまだまだこの年の女もいけるのか」と感慨にふけってみるとか、普段はあまり化粧けのない女性のマニキュアやペディキュアを見て奇妙な欲望にかられるとか・・・。
普段は何とも思っていない相手がふとした時にみせる仕草や行動に、性的なものを感じてドキッとしてしまう。
こういう感覚はよくわかります。
つい最近も、それまではまったく眼中になかった人の顔をよくよくみたら髭が濃い事を発見し、妙な色気を感じてしまいドギマギしてしまった、なんて事がありました。
「あらら、この人の事好きなのかも」なんて一瞬思っちゃったりしたものの、さらによくよく顔を見て「やっぱりそんな事はない」と我に返りましたが。

生々しさ&妄想満載のこの本。(重ねて言いますが私的印象です)
今まではこの手のジャンルの本はまったく読んだ事がなかった。
新たなジャンルを開拓できた感じで嬉しくはあるものの、読み終わった後に心がわけもなくモヤモヤしてしまい、その状態を二日ほど引きずった。
精神的な二日酔いとでもいうのでしょうか。

紫の領分
藤沢 周 / 講談社
ISBN : 4062752174
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by hiro-iti | 2006-04-04 23:34 |