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ほとんど読書感想、たまに日記、まれに映画感想。


by hiro-iti
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チョコレートコスモス

著者:恩田陸

舞台の上の、暗がりの向こう。
そこには何かが隠されている。
どこまで行けばいいのか?
どこまで行けるのか?

大学の演劇サークルに所属している梶山巽は、いつものように公園で演技のトレーニングをしていた所、ひとりの少女が真剣に自分達の演技を見ている事に気がついた。
その少女、佐々木飛鳥は巽が所属する演劇サークルに入りたいという。
演技をするのは初めてという飛鳥だったが、実際に演じさせてみると驚異的な身体能力と違う人物になりきるという天才的な演技で巽たちを驚かせる。
演劇サークルに入る事を許された飛鳥は初舞台でも驚くべき演技を披露し、その演技がある舞台演出家の目に留まる。
来年杮落としする、新国際劇場のオープニング作品として企画されている、女優二人による芝居のオーディションを受けてみるように勧められる飛鳥だったが、その芝居には芸能一家に育ったサラブレット女優・東響子も並々ならぬ関心を寄せていた。


最近の同作者の作品は、正直「う~ん」な感じのものが多かったのですがこの作品は結構楽しめた。

物語の設定は「ガラスの仮面」そのまんま。

マヤ=飛鳥=天性の演劇の才能を持つ
亜弓=響子=芸能一家に育ち、演技の才能は経験と努力によるもの

といった感じ。

オーディションのシーンもガラスの仮面におけるあの、手に汗握る演技合戦が活字になったものと考えて差し支えないと思う。
作者はよほどガラスの仮面を意識してこの作品を書いたのではないのかな、と思わせる箇所もちらほらと出てくる。
本当に色々なジャンルの作品を書く人だ。

ただ、正直な事を言ってしまうと本家を超えてはいない。
ガラスの仮面をノベライズしてみました、みたいな感覚が終始つきまとう。

「飛鳥はやっと演劇界の入り口に立ったばかり」みたいな終わり方だったので、もしこの続きが書かれることがあるのならば、本家とは違った方向での展開を期待したい、ってなんだかとてつもなく偉そうな事書いてるわ。

チョコレートコスモス
恩田 陸 / 毎日新聞社
ISBN : 462010700X
by hiro-iti | 2006-04-30 18:58 |