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ほとんど読書感想、たまに日記、まれに映画感想。


by hiro-iti
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永遠の出口

著者:森絵都

紀子は<永遠>という言葉にめっぽう弱い子供だった。
たまたま見逃してしまったテレビ番組を「あの日の放送はものすごく面白かったのに見逃しちゃうなんて、紀ちゃんは<永遠>にあの日の放送は見ることはできないんだね」などど人に言われようものなら、取り返しのつかない事をしでかしたような気分に陥り、二度見ることができないそのテレビ番組に思いをはせ、涙するような子供だった。
そんな世界で起こる全ての出来事をあまさず見ておきたいという衝動。
だが、世界はとてつもなく広く、そんな取りこぼしてしまう出来事があまりにも多すぎる事を友達の誕生会をめぐる小さな事件で紀子は思い知らされる。  (永遠の出口)

七十年代、八十年代に育った普通の少女、紀子の小学三年生から高校三年生までの九年間を描く連作集。


なんとも懐かしさが漂う作品。
描かれている年代がほとんど自分が育った年代と一緒だった事もある。
基本的に「女子サイド」の話なのだが、友達の誕生会の話や、普段は親としかいけない街に子供達だけで電車に乗って遊びに行く事がかなりの大掛かりのイベントだった事や、思春期の時期に自分では結構真剣に悩んでいたバカバカしい事柄などなど、自分と被るエピソードが満載でした。
この歳になって当時の事を振り返ると、なんてバカバカしい事に思い悩んだり、変な事にムキになっていたんだろうと不思議な気持ちになる。
まぁ、そんな時代もあったから今の自分があるわけだし、と変に達観してしまう本でした。
30歳後半の人達にオススメの本です。
「紀子」のような人物はクラスに必ずいたはずです。
もしくは紀子=自分だったかもしれません。

永遠の出口
森 絵都 / 集英社
ISBN : 4087460118
by hiro-iti | 2006-05-01 02:21 |