ほとんど読書感想、たまに日記、まれに映画感想。


by hiro-iti
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カテゴリ:本( 119 )

地下鉄(メトロ)に乗って

著者:浅田次郎

永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは三十年前の風景。
ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。
だが封印された“過去”に行ったため…。


よくあるタイムスリップもの。
横暴な父親に耐えきれず家を出た息子。断絶したまま年月は過ぎ、ある日、父親が危篤だとの知らせを受け心が揺らぐ。そしてひょんな事から過去へタイムスリップし、父親の若い姿を見て、今まで彼がどのように生きてきたを知ることにより・・・みたいな話。
ありふれている設定だし、他にも似たような話は結構ありそう。
でも、やっぱり浅田次郎はひと味違う。
地下鉄をとても効果的な小道具として使い、終戦後の雑多な町並みをリアルに表現し、その中で登場人物たちがいきいきと動いている。
書かれている時代には、もちろん自分はまだ生まれてないですけれど、終始感じられる自分でもよくわからない”懐かしさ”がとても心地よい。
ただ、結末には納得できません。
まぁ、これは個人の好みの問題なのですが。

余談ですが、地下鉄の窓っていらないんじゃないかと思うのです。
窓の外を見ても真っ暗なだけだし。
窓の部分にも広告を貼ったりして、もうちょっとスペースの有効利用をした方が良いんじゃないかななんて。
窓部分に海外の風景を写しだしたりして、バーチャル「世界の車窓から」みたいな事をしてくれたら外国の列車に乗っているみたいで楽しいかも。
まぁ、そもそも地下鉄には年1、2回しか乗らないんですけどね、自分。

地下鉄(メトロ)に乗って
浅田 次郎 / 講談社
ISBN : 4062645971
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by hiro-iti | 2006-06-26 21:30 |

ミステリアス学園

著者:鯨統一郎

ミステリアス学園ミステリ研究会、略して「ミスミス研」。
ミステリは松本清張の『砂の器』しか読んだことがない、新入部員・湾田乱人が巻き込まれる怪事件の数々。なぜか人が死んでいく。
「密室」「アリバイ」「嵐の山荘」…。
仲間からのミステリ講義で知識を得て、湾田が辿り着く前代未聞の結末とは!?


読むだけで本格ミステリの事がわかってしまう(わかったつもりになる)素晴らしい本。
「本格ミステリの定義」から「密室トリック」、「アリバイ」、「ダイイング・メッセージ」などの講義や過去の傑作ミステリーの紹介などを織り交ぜつつ話は進む。
そして最後にはミステリー史上、もっとも意外な犯人が・・・。

ちなみに巻末には「ミステリ作家年表」や「本格ミステリ度MAP」なども付いていて、一粒で2度どころか3度も4度も美味しい構成になっています。
ミステリーに興味のある人には、とても楽しめる本です。
ミステリーが好きではない方は、あまり楽しめない・・・・かも。

ミステリアス学園
鯨統 一郎 / 光文社
ISBN : 4334740472
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by hiro-iti | 2006-06-25 21:12 |

ZOO

著者:乙一

行方不明になった恋人は何者かに殺されていた。
犯人は”俺”の元に毎日、死体となった恋人の写真を送りつけてくる。
写真のなかで徐々に腐敗していく恋人。
犯人の目的は何なのか・・・。『ZOO』


表題の作品を含む短編集。
どの作品も正直言って後味が悪く、不気味。
読み終わった後のこのイヤーな気分はどうしてくれよう。
それでもどの話も完成度が非常に高く、作者が「天才」と呼ばれている理由が分かる。
まったく予測のつかない”オチ”ばかりで驚かされました。
でも、読み終わった後は清々しい気分にはなれないのですが。

ZOO〈1〉
乙一 / 集英社
ISBN : 4087460371




ZOO〈2〉
乙一 / 集英社
ISBN : 408746038X
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by hiro-iti | 2006-06-24 23:27 |

天使の代理人

著者:山田宗樹

平成3年、生命を誕生させるはずの分娩室で行われた後期妊娠中絶。
数百にのぼる胎児の命を奪ってきた助産婦・桐山冬子がその時見たものは、無造作に放置された赤ん坊の目に映る醜い己の顔だった。
罪の償いのため生きていくことを決意する冬子。その日から決して声高に語られることのない、生を守る挑戦が始まった。
平成15年。冬子は助産婦をしながら“天使の代理人”という組織を運営していた。
社会的地位を獲得することを目標に生きてきたものの、突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用して出産を決意した川口弥生、36歳。
待望の妊娠が分かった直後、人違いで中絶させられた佐藤有希恵、26歳。
何も望まぬ妊娠のため中絶を考えたものの産み育てることを選んだ佐藤雪絵、20歳。
それぞれの人生と“天使の代理人”が交錯し、ひとつの奇蹟が起ころうとしていた―。


『中絶』というかなり重苦しいテーマでありながらも、それを感じさせずに一気に最後まで読ませてしまうストーリー運び。
あっという間に読み終わってしまった。
そもそも妊娠したりなんて事はできないし(男だし)、妊娠させたりなんて事もできない(相手も男だし)自分にとってもなんだか色々と考えさせられてしまう本であった。
特に作中で、あるインターネットの掲示板での「中絶の是非」についての議論は凄まじい。
どちらも正しくもあり、どちらも間違っているような、何ともいえない感覚を味わった。

天使の代理人〈上〉
山田 宗樹 / 幻冬舎
ISBN : 4344407792




天使の代理人〈下〉
山田 宗樹 / 幻冬舎
ISBN : 4344407806
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by hiro-iti | 2006-06-24 22:59 |
著者:ローレル・K・ハミルトン
訳:小田麻紀


アニタ・ブレイク―チャイナドールのように華奢で美しい若き女性。
だが彼女の職業はふつうではない。
特殊な技能で死者を蘇生させるのが仕事。
さらに彼女には裏の顔があった!
罪を犯したヴァンパイアを殺す処刑人として、闇の社会で恐れられていたのだ。
しかしあるとき、宿敵たるヴァンパイアからの依頼を受ける。
最近起こったヴァンパイア連続殺人事件の犯人をつきとめてほしい、と。
最初は断ったものの、ビロードの声を持つ美貌のマスター・ヴァンパイア、ジャン=クロードとの宿命的な絆に囚われてしまい、やむなく捜査にあたることになり…。


バンパイア(吸血鬼)を扱った小説や映画、漫画などはいっぱいありますよね。
自分が知っているだけでも、両手の指だけでは足りないぐらい。
という事は、世の中にはものすごい数のバンパイアのお話があるんではないかと。

確かに魅力的なモンスターではある。
永遠の命を持ち、大概が容姿端麗、闇夜にまぎれて現れ、首筋に牙を立て人の生き血を吸う姿はある意味幻想的だ。
ただ、世の中に同じタイプのバンパイアものお話が多すぎて、実際に記憶に残っているものは少ない。

この本はどうだったのかと言うと・・・、記憶に残らない方。
出てくるバンパイアの設定はよく知られているもの、よく使われているもので新鮮味はない。
主人公はヴァンパイア・ハンターでありつつ、死者を蘇生する事ができる「蘇生師」という一風変わった職業であったり、敵役のヴァンパイアが千年以上生きながらも、その容姿は金髪の美少女であったり、ヴァンパイア・ジャンキーの男性ストリッパーが出てきたりと、その手の耽美的なものが好きな方にはたまらない設定の登場人物が出てきたりする。
でも、そういうのを全面的に押し出したバンパイア物も結構、他にあるし。

長く続いているシリーズの第1巻目という事なので、2巻以降、登場人物のそれぞれの背景が明らかになっていくうちに、もっと面白くなるのかもしれないですけど。
今の所は・・・。

十字の刻印を持つふたり―アニタ・ブレイク・シリーズ〈1〉
ローレル・K. ハミルトン Laurell K. Hamilton 小田 麻紀 / ソニーマガジンズ
ISBN : 4789728455
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by hiro-iti | 2006-06-05 00:42 |

きょうの猫村さん2

著者:ほしよりこ

犬神家で働く家政婦(猫)・猫村ねこ。
主人の不倫、嫁姑問題、娘の非行と様々な問題を抱える犬神家だったが、猫村ねこは海外に行ってしまった、いとしいぼっちゃんにもう一度会うためにがんばって奉公するのだった。


待望の(?)第2巻。
いったいどこが面白いのか、わからない漫画。
でも、なぜだか読まずにはいられない不思議な漫画。
主人公が、ただの猫でありながら家政婦をこなす(しかもその事について話の中ではだれも不思議に思っていない)という不条理。
「鉛筆画」という、悪く言えば手抜き、よく言えばほのぼのとして親しみやすい絵柄。
なんて事は考えず(考えてはいけない)に読むと、なんとも癒される作品。
でも、好き嫌いがハッキリと分かれる本ではあると思います。
猫好きな方は、好きになる確率は大きいハズ。

きょうの猫村さん 2
ほし よりこ / マガジンハウス
ISBN : 4838716648
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by hiro-iti | 2006-06-04 02:39 |

εに誓って

著者:森博嗣

山吹早月と加部谷恵美が乗車していた東京発中部国際空港行きの高速バスがジャックされた。
犯人グループは、都市部に爆弾を仕掛けたという声明を出していた。
乗客名簿には『ε(イプシロン)に誓って』という名前の謎の団体客が。
『φ(ファイ)は壊れたね』から続く不可思議な事件の連鎖を解く鍵を西之園萌絵らは見出すことができるのか?
最高潮Gシリーズ第4弾!


「最高潮Gシリーズ第4弾!」と断言されても、前3作との繋がりはさっぱりわからない。(読解力の問題か?)
どうやら真賀田四季という天才学者が裏に潜んでいる的な事が書かれてはいるのだが、残念、そっちが出ているシリーズは読んでいないのだ。
そして一番解せないのが西之園萌絵の存在だ。
彼女が他シリーズでの主役であり、かなりの人気キャラだということは何となく知っている。(そちらのシリーズも読んではいないのです)
ただ、このGシリーズでの主役は山吹と加部谷、そして海月の筈。(えっ、そうですよね?)
それなのに毎回、毎回、西之園はおいしい所をかっさらっていくように事件に首を突っ込んだり、自分の推理を披露するのはどういう事?
しかも、事件が解決してから「こういう事だったのよ」と説明しているだけで、事件を未然に食い止めようという事はしないのだ。
西之園の存在は、主演俳優が新人の映画に友情出演でちょっとだけ顔を見せたベテラン女優みたいな違和感だ。
ストーリーには直接関係ない役の筈なのに、その存在感ゆえに不自然に目立ってしまっている、みたいな。

いや、でもミステリーとしては面白いです。
今回のトリックも結構、意表をつかれました。
でも、同じようなトリックを他の話で読んだ事があるような気がする・・・、気のせいか?

εに誓って
森 博嗣 / 講談社
ISBN : 4061824856
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by hiro-iti | 2006-05-28 21:21 |

明日の記憶

著者:荻原浩

広告代理店の営業部長、佐伯は最近、ひどい”物忘れ”に悩まされていた。
人の名前を思い出せない、車の鍵をどこに置いたのかを忘れる、簡単な計算を間違えてしまう。
仕事のストレスと歳のせいだ、と自分に言い聞かせていたものの、不眠や眩暈、頭痛なども併発するようになり、思い切って精神科を訪れる。
自分では「鬱病」ではないかと思っていたが、医師から告げられた病名は「若年性アルツハイマー」だった。
実の父が同じく「アルツハイマー」を患い、その病気の怖さを知っていた佐伯は自分自身の行く末に恐れおののく。


呆けて(アルツハイマーになって)大変なのは、その世話をする家族である。
それはもちろん、そうなのだろう。
そういう話をよく聞くし、実際に家族がアルツハイマーを患い、大変な苦労をして介護をしている人も知っている。
思い返せば、アルツハイマーなどの病気をあつかった話は病気を発症した本人の視点から描かれることはなく、ほとんどが家族や周囲の人からの視点である事がほとんどだったように思う。
その為か、病気になった本人の辛さや怖さというものを考えたことがなかった。
不幸にもアルツハイマーとなってしまった人物の視点から描いたこの本を読んで、家族の顔、そして愛した人の顔さえも思い出せなくなるというのは、かなりの恐怖だと言う事に気づかされた。

映画を観た人に感想を聞いてみると、映画では夫婦の絆を主題にドラマチックに描かれているようですが、本の方では徐々に病状が進行していく様が静かに、そして淡々と書かれている印象を受けました。
以前読んだ同じ作者の作品と比べると、話の盛り上がり方に少し物足りなさを感じるものの、心に残る一冊である事には間違いない。

明日の記憶
荻原 浩 / 光文社
ISBN : 4334924468
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by hiro-iti | 2006-05-28 01:39 |

家族会議

著者:吉村達也

一家四人でしあわせに暮らしていた沢木孝は、ある日突然、妻の麻紀に先立たれる。
幼い子供たちが哀れだと、義母の芳子が同居を申し出て、家事と育児を引き受けたが、その一年後、孝は若手の女性社員に求婚した。
義母は激怒し、家族会議により婿の再婚計画を白紙に戻そうとする。
だが、それでも「嫁」はやってきた。不幸であることこそ人生との異常な価値観をたずさえて!


突然の妻の死によりバラバラになりかけた家族に「義母」という他人が入り込む。
ギクシャクしながらもなんとか家族として成り立ち始めた頃に、新たに加わった「後妻」という他人。
反発しあいながらも本当の家族となっていく沢木家であった・・・・、みたいな心あたたまる家族のお話だと思ったら大間違い。
内容はサイコサスペンスでした。

自己中心的な義母は婿の行動を逐一監視し、婿に女の影があろうものなら「娘の霊はまだココにいるのよ!」と非現実的な言動で威嚇する。
後妻は後妻で、秘められた過去がある上に「誰かが不幸じゃないと、存在価値のない女なんです」と言い出す始末。
そんな登場人物ではハッピーエンドなど望めるはずもなく、かなり後味の悪い結末でした。
ただ、後妻の過去が徐々に明かされていく様は結構スリリングで面白かった・・・かな?

家族会議
吉村 達也 / 集英社
ISBN : 4087460320
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by hiro-iti | 2006-05-25 00:12 |
著者:リリー・フランキー

「ちょっと売れているタレント本」という、少しうがった見方をしていたこの本。
特に読みたいとも思っていなかった自分に、「泣けるから読んでみて」と人に押し付けられてしまったのでしぶしぶ、ホントに不承不承読んでみたのです。

結果・・・泣けた&読んでよかった。

いや、正直に言うと泣いてはいないか。
でもウルウルポイントが何箇所も出てきて、涙する寸前までの状態には何度も陥った。
特に最後の方に出てくるイラストを見たときは・・・・・危なかった。

昔はどうしようもない事ばっかりやっていた子供が大人になって親孝行する話、と言ったら身も蓋もないのですが、その過程が本当に細やかに書かれていて、読んでいる内に自分自身の経験と重ね合わせてしまったりする。
読みながらいっしょに喜んだり、怒ったり、涙したりと自然に感情移入。
様々な人がこの本を支持している理由が少し分かりました。

それにしてもリリー・フランキーという人は多才な人ですね。
自分のイメージとしてはココリコミラクルタイプに出てくるくたびれたおじさん、といった感じで他にどんな仕事をしているのかもよく知らなかった。
あの「おでんくん」のキャラを作りだした人だったとは全然知らなかったよ。(ウチの兄(独身・40歳・非ゲイ)が好きなのよね)
おでんくんを考えている同じ頭の中で、こんなにも人を感動させてしまう本を書いてしまうとは恐るべしリリー。

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~
リリー・フランキー / 扶桑社
ISBN : 4594049664
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by hiro-iti | 2006-05-22 23:19 |