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ほとんど読書感想、たまに日記、まれに映画感想。


by hiro-iti
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おいピータン!! 11 (11) (ワイドKC キス)

伊藤 理佐 / 講談社

おんなの窓〈2〉

伊藤 理佐 / 文藝春秋

女のはしょり道

伊藤 理佐 / 講談社



3冊同時発売。
食に関連した、ちょっとした出来事を描いたオムニバスショート『おいピータン!!11巻』
週刊文春に掲載された、日常をひとコマで描くエッセイ漫画と、30代後半という『妙齢』女性の生活と考え『おんなの窓2』
キレイにはなりたいが努力するのは面倒くさい。なるべく手間をかけない美容法を実践するエッセイ漫画(でも、大抵失敗・・・)『女のはしょり道』


たしか去年もそうだった記憶があるのですが、違う出版社から「伊藤理佐単行本フェア」と銘打って単行本を3冊同時発売する伊藤理沙は結構、大物漫画家なのでしょうか。
一応、それぞれテーマの違ったエッセイ漫画(『おいピータン!!』はフィクション)ではありますが、3冊が一冊の本にまとまっていてもそれほど違和感はない。
エッセイ漫画で描かれていたネタが『おいピータン』の方でちゃっかり使われたりするし・・・。

ちょっと変わっているけど、変人とまでは行かない。
そんな絶妙な感覚がなんとも言えない。
年齢に関する自虐ネタは思わず納得です。(同年代だからかな)
# by hiro-iti | 2008-12-15 22:36 |

狭くなった道

実家に戻って家の周りを散歩してみると、いろいろな事にびっくりさせられる。
一番びっくりしたのは小学生の時の通学路の狭さだ。
ランドセルしょって、遅刻ぎりぎりで毎日全速力で走っていた道が(あの頃から朝は苦手だった)、今になってプラプラ歩いてみるとなんと狭く感じられる事か。
「あぁ、大人になるってこういうことなのか」と妙な気分にとらわれる。
なんて、すでに充分大人などころか中年の域に差しかかってる訳ですけど。
# by hiro-iti | 2008-12-06 23:46 | 日常

『海の底』 有川浩

  • 海の底
  • 有川 浩 / メディアワークス

突如、横須賀を襲撃した巨大甲殻類の群れ。
その場に運悪く居合わせた子供達は、海上自衛官の夏木と冬原とともに横須賀港に停泊中の潜水艦「きりしお」へ逃げ込むが孤立してしまう。
パニックに陥る横須賀市内では機動隊が巨大甲殻類に応戦するものの、未知なる生物に対してなすすべがなく・・・。


よくある怪獣パニックものながらも主役は怪獣ではなく、理不尽な理由で孤立させられた子供達の方の成長物語といった所でしょうか。
とは言っても怪獣達もかなり陰惨な事をしでかしてくれるし(巨大なザリガニモドキがうじゃうじゃと集まって人間を喰らう)、対する機動隊もかなりドラマチックに奮闘してくれる。

今回の話は「自衛隊三部作」のうち海上自衛隊をテーマにしたものらしいのだが、主役級で活躍する自衛官、夏木と冬原は終始子供の保護者役。
ただ、子供達が聞き分けがないと容赦なく怒鳴りつける夏木と、クールにその場をおさめる(ただ、かなりパンチの効いた皮肉交じり)冬原のコンビは絶妙で面白い。

夏木たちとともに潜水艦に閉じ込められた子供達もそれぞれ複雑な事情を抱えていて、特にメインの望と翔の姉弟には泣かされた。(少しベタな感じはしましたが・・・。)
艦内でトラブルメーカー役となる圭介には終始イライラさせられっぱなしで(こういうキャラが一人はいないとお話が面白くならないんですが)、もし自分が作者だったら、こんなガキは、それはもう陰惨な形でザリガニモドキに襲わせてやる所だが、ソコは有川浩、これ以上はないというほどの爽やかなオチを彼にも用意していたのが素晴らしい。

夜、寝る前に読み始めたら、結局最後まで読まされるハメになってしまったこの本。(読み終わったの朝4時・・・。)
自分の"有川浩ブーム"はまだまだ続きそうです。

ちなみに、自衛官二人のその後の話は「クジラの彼」の方で読めます。
非常識な話(『海の底』)の後に日常の話(『クジラの彼』)を読むと、結構ほのぼのとした気分にひたれる事受け合いです。
# by hiro-iti | 2008-11-30 20:16 |

『小説以外』 恩田陸

  • 小説以外
  • 恩田 陸 / 新潮社

読書遍歴や、食べ物、音楽にまつわる話、他の作家への書籍にあてた解説などをまとめたエッセイ集。

好きな作家の読書遍歴や、好きだったテレビ、よく聞く音楽、好きな食べ物、どんな子供時代を過ごし、今はどんな生活をしているのかなどを知る事ができるのは嬉しい。
過去の作品がどんな影響を受けて書かれたのか、どんな思いがこもっていたのかをちょっぴり奥深い所を知る事ができるというか、知ったつもりになれるから。

ただ、自分は、日常の小さい事をほじくりかえすようなタイプのエッセイが好き。
つまりは「こんな面白い事がありました」と書かれたものに対して、「そんなの変だよ」とか「そういうのよくあるよね」とか「へーそんな見方もあるんだ」などと共感したり、憤ったりしたいのだ。

今回の本はそんな自分自身との共感ポイントがあまりなかったので、正直印象が薄い(つまらなかったわけではないです。)
# by hiro-iti | 2008-11-29 12:47 |

『クジラの彼』 有川浩

  • クジラの彼
  • 有川 浩 / 角川書店

聡子が合コンで知り合った彼は海上自衛隊の潜水艦(クジラ)乗りだった。
航海中は一切の連絡が取れない彼との交際は、予想以上の困難と忍耐が必要になり・・・。
表題作他、全六編の短編集。


今一番お気に入りの作家、有川浩。
最初の出会いは有名な「図書館戦争シリーズ」(アニメは未見)。
そもそも「図書館」と「戦争」というよくわからない組み合わせに、ずーっと気にはなっていた。
本屋に行く度に「図書館戦争」の本を手にしつつも買うべきか買わないべきか迷っていた頃が懐かしい。(ほら、ハードカバーの本って大きいし、高いし、もし買って途方もなくつまらなかったらダメージが大きいじゃないですか)
結局、何かのきっかけで「戦争」を購入し読んだ所、あまりの面白さに寝食を忘れて読み耽った上に、次の日、開店と同時に本屋へ続きを買いに走るハメになった。
面白い本はいろいろとあるけれども、面白い上に「なんでもうちょっと早く手にとって読まなかったんだろう」と後悔すらしてしまう本はなかなか巡り会えないので、この時は純粋に嬉しかった。

有川浩という方は自衛隊に知り合いがいるのか、それとも本人がそうだったのか、それとも単にマニアなだけなのか、どの作品も自衛隊がらみの話が多い。
「図書館戦争」は自衛隊という組織を少し捻った形で作品にしたものだったし、「塩の街」(陸上自衛隊)、「空の中」(航空自衛隊)、「海の底」(海上自衛隊)という「自衛隊三部作」なるものも書いている。(塩と海は未読です)
今回の「クジラの彼」も、どの短編も自衛隊がらみの話であった。そしてかなりのベタ甘恋愛もの。

そもそも、自衛隊という組織は自分はあんまり詳しくないため、男ばっかりで毎日訓練に明け暮れている様をみると、どちらかというと下世話な方向への想像しか働かないのだが、作者が女性という事もあるのか、作品に登場する男達は「弱き者は無条件で守るぜ」的なタイプが多い(当然のように見た目も良い)。
しかも仲間内でシモネタ話などで決して盛り上がらずに「くだらねぇ話してんじゃねーよ」と言って話しに加わらないような奴だ。(現実世界だったら、多分そういう人が一番ムッツリです)
平たく言えば、筋肉系王子様タイプとも言うのだろうか。

まぁ、少女マンガ的な理想の男性像色が強いものの、それがとても良い。
普段は生真面目で不器用で、でも、いざという時は頼りになって、照れながらもヤル事はヤルみたいな。
正直に言うと、自分の好きな(理想の)タイプなんですな。
現実に作品に出てくるような男がいたら是非、お付き合いしたいものです。

あぁ、こんな事を書いていると、単に自分の好みの男が出てくるからこの作家が好きなんだろうと思われそう。
もちろんそれだけじゃありません、単純に面白いからです。
そして、どの話も爽やかな読後感に気持ちよく浸れる事請け合いです。
# by hiro-iti | 2008-11-28 21:42 |