さやかの家の前で行き倒れていた男・イツキ。
イツキが警戒心を感じさせなかったせいか、それともさやかの魔が差したのか、さやかは一晩、その見知らぬ男を家にあげる事にした。
次の日の朝、お礼にとイツキが作った朝食の美味しさに胃袋を鷲づかみにされたさやかは、イツキに「行く場所がなかったら家事をするという条件でいっしょに暮らす事を提案する。
道端で取ってきた雑草を意図も簡単に美味しい料理にしてしまうほど、妙に植物に詳しいイツキに胃袋のみならず、人柄にどんどん惹かれていくさやかだったが、イツキは何故だか自分の過去は語りたがらず・・・・。
最強家事男子誕生です。
道端の食べられる植物をとってきて、それをなんとも美味しそうな料理にしてしまうという、「エコ&家計にやさしい」能力を備えているとは。
しかも「けっこういい男」という描写も。
素晴らしい、お付き合いしたい、でもそんな男はそうそういないだろう、っていうかいない。
まさに理想の男子です、イツキは。
有川浩の今までの作品だと、いわゆる「体育会系」の男が多かったけれど(だって自衛隊ものとか多かったし)、今回のイツキみたいな「文化系」の男もなかなかに素晴らしいと感じさせてくれる。
でも、なかなかにそうそうイツキみたいな男は道端に落ちてはいないと思うけど、いや、絶対に落ちていない。
もはや定番なのか、今回も他の作品同様、「最後に二人は幸せになりました」で終わらずにその後の二人の状況もサラリと付け加えられているのが素晴らしい。
蛇足にはならず、「あぁ、その後もちゃんと幸せに続いているんだな」と思わせてくれるので。
今回の作品も含め、読後に心地よい余韻を残してくれるので、本当に有川浩の本は大好きです。
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by hiro-iti
| 2009-08-09 01:41
| 本